2016 年 38 巻 5 号 p. 313-318
【目的】水頭症を伴う脳室内血腫に対する治療として脳室ドレナージ(EVD)が一般的であるが,神経内視鏡を用いた脳室内血腫除去術の有用性と安全性をEVD 単独治療との比較により検討する.【方法】2010 年から2014 年までの水頭症を伴う脳室内出血28 例中,EVD 単独治療の9 例と神経内視鏡下血腫除去とEVD を行った9 例を対象とした.年齢,GCS,脳室内血腫量,EVD 留置期間,離床でのリハビリテーションまでの期間,在院日数,シャント術の必要性,合併症,退院時予後について検討した.【結果】EVD 留置期間と離床でのリハビリテーション導入までの期間は神経内視鏡治療群で有意に短かった.内視鏡治療はより重症例に適用されていたが,退院時の転帰に有意差がなかった.【結論】内視鏡下脳室内血腫除去術はEVD 留置期間を短縮もしくは不要にし,本格的なリハビリの導入期間も早まる.そこで神経学的予後の改善が期待される.