脳卒中
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症例報告
大動脈原性脳塞栓症を発症し,上行大動脈置換術を施行した80 歳男性例
中島 昌典岡野 晴子傳法 倫久平野 照之千葉 厚郎遠藤 英仁窪田 博磯村 杏耶下山田 博明大倉 康男塩川 芳昭
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2017 年 39 巻 2 号 p. 129-134

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抄録

症例は喫煙歴のある80 歳男性で軽度の右上肢脱力を主訴に入院した.頭部MRI の拡散強調画像で両側大脳皮質に微小高信号が多発し,脳塞栓症と診断しヘパリンを開始した.第4 病日の造影CT で上行大動脈に15 mm の複合粥腫病変を認め,大動脈原性脳塞栓症としてアスピリン,クロピドグレル,アトルバスタチンを開始し,ワルファリンを追加した(PT-INR 1.6~2.6 で管理した).第20 病日の造影CT で粥腫に改善なく,第22 病日に頭部MRI で新規梗塞を認めたため,第24 病日に上行大動脈置換術を施行した.術後はクロピドグレル,アトルバスタチン,ワルファリンを再開.経過良好で第43 病日に退院した.術後23 日目・6 カ月の頭部MRI で無症候性の新規梗塞を認めたが,術後7・11 カ月の頭部MRI では新規梗塞を認めなかった.大動脈原性脳塞栓症に対して,薬物療法下に大動脈病変を2 週間評価し,手術の実施を検討すべきと考えた.

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© 2017 日本脳卒中学会
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