脳卒中
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症例報告
経動脈ならびに経静脈の双方向同時塞栓が有効であった傍脊椎動静脈瘻の1 例
和久井 大輔伊藤 英道佐瀬 泰玄小野寺 英孝大塩 恒太郎田中 雄一郎
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2017 年 39 巻 2 号 p. 145-149

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抄録

25 歳女性.右頸部腫瘤を主訴に他院を受診し皮下頸部動脈や椎骨動脈,外頸動脈からの多数の流入血管を有し,複数の瘻孔から皮下静脈瘤を経由して傍脊椎静脈叢へ流出する傍脊椎動静脈瘻(PAVF)を指摘された.主たる流入路の上行頸動脈を頸部切開で結紮したが側副血行のため根治せず,経動脈的塞栓術を行うも再発し当科紹介となった.多数の流入血管と瘻孔からなる複雑な血管構築のため,全ての血管を網羅するように動脈と静脈双方にカテーテルを誘導しコイルで塞栓した.瘻孔は消失し1 年後の血管撮影でも再発は認めない.PAVF はまれな脊髄シャント性疾患であり確立された治療法はない.血行動態が複雑なPAVF に対する経動脈的および経静脈的な同時塞栓は試みるべき有効な治療法の一つである.

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© 2017 日本脳卒中学会
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