抄録
症例は75 歳女性.完全房室ブロックに対してペースメーカ留置の既往があるが血栓性既往はない.交通外傷で右鎖骨骨折,肋骨骨折,血胸と診断された.第8 病日に軽快退院したが,第12病日より右上肢と顔面の腫脹および頭頸部痛が出現し,第13 病日に来院した.造影CT で右鎖骨下静脈から右内頸静脈に至る血栓症を認め,ただちにヘパリン点滴を開始した.第18 病日からエドキサバン30 mg の内服を開始,症候増悪なく26 病日に退院後は症候軽快し,第87 病日の造影CT では血栓の消失が得られていた.以後再発なく経過した.鎖骨下静脈から内頸静脈に至る上半身深部静脈血栓症に対してもエドキサバンは安全かつ有効な治療の第一選択になりえる.