脳卒中
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症例報告
発症急性期に液性成分が急速増大し開頭術を要した頭頂葉皮質下出血の3 例
木下 喬公羽柴 哲夫山上 敬太郎本郷 卓高崎 盛生宮原 永治山田 圭一藤本 康裕
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2017 年 39 巻 2 号 p. 119-123

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抄録

右頭頂葉皮質下出血急性期に,血腫の拡大ではなく液性成分の増大により症状が増悪し,手術を要した3 症例を経験したため報告する.症例は,2009 年1 月から2011 年12 月の間に当院に入院した皮質下出血の3 例(男性2 例,女性1 例,平均年齢70 ± 9 歳)である.初診時は全例でJCS 1群であり,頭部computed tomography(CT)では脳室穿破を伴わない右頭頂葉から側頭葉にかけての皮質下出血を認めた.全例で急性期に液性成分増大によると思われる症状の増悪を認めたため,開頭血腫除去術を施行した.脳血管評価では異常を認めなかった.全例で血腫と脳室壁が近接しており液性成分の増大と何らかの関係があることが示唆された.このことから,脳室壁に近接した皮質下出血では,急性期に液性成分の増大による症状の増悪の可能性があることに留意する必要があると考えられる.

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© 2017 日本脳卒中学会
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