2017 年 39 巻 3 号 p. 190-194
症例は44 歳の女性.片頭痛の既往あり.2012 年8 月上旬下腹部痛を主訴に受診した.Hb 4.7 g/dl と重度の貧血を認め,精査により子宮体癌と診断した.輸血,鉄剤投与により貧血は改善し,9 月下旬に準広汎子宮全摘・両側附属器切除術を施行した.10 月下旬激しい頭痛のため搬送され,MRI で可逆性後頭葉白質脳症の所見を認め入院した.入院後,後頭部から前頭部へ広がる頭痛発作を繰り返した.第6 病日シャワーの湯を頭にかけた瞬間に雷鳴様頭痛が生じ,痙攣後不穏状態となったため鎮静を要した.頭部CT で左側頭葉に出血を認め,可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome: RCVS)の疑いでベラパミル240 mg/日の投与を開始し,頭痛は軽快した.第12 病日頭部3DCTA で広範な脳血管攣縮を認め,第69 病日改善を確認しRCVS と診断した.貧血の補正に加え,子宮体癌の手術に伴うエストロゲン欠乏状態がRCVS の誘因となった可能性がある.