2017 年 39 巻 4 号 p. 304-308
症例は84 歳の男性.一過性脳虚血発作後に非弁膜症性心房細動を指摘され,ワルファリン内服を開始,後にダビガトランへ変更した.ダビガトラン内服開始6 カ月後より心窩部痛,嗄声,嚥下困難感が出現し,内視鏡検査で食道粘膜障害を,生検病理所見でびらんを認めた.ダビガトランからアピキサバンへ変更直後に症状と内視鏡所見が改善し,ダビガトラン関連食道炎と診断した.ダビガトラン関連食道炎が疑われる患者に対して,アピキサバンへ変更は,全身塞栓症のリスクを増やすことなく消化器症状を改善する有効な選択肢となりうる.