脳卒中
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症例報告
脳底動脈の急激な延長により水頭症・意識障害・脳幹梗塞を来した椎骨脳底動脈延長拡張症の1 例
赤嶺 壮一佐藤 晴彦近土 善行小泉 慎一郎
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2017 年 39 巻 5 号 p. 351-355

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抄録

椎骨脳底動脈延長拡張症(vertebrobasilar dolichoectasia: VBD)に合併した水頭症の1 例を経験した.延長した脳底動脈が第3 脳室底を押し上げ,Monro 孔を閉塞したことが水頭症の原因と考えられた.意識障害を呈したため,両側脳室腹腔短絡術を施行した.術後のCT で脳室拡大は改善されたが,意識障害の改善は一時的であり,術後1 カ月で脳幹梗塞を発症し転帰不良であった.3 年8カ月に亘る経過観察期間のMRI 画像を検討したところ,観察開始から3 年後に起こった脳底動脈の急激な延長が,脳底動脈の血流低下による意識障害や,穿通枝のねじれによる脳幹梗塞を起こしたものと考えられた.脳底動脈の急激な延長は,VBD に伴う水頭症,意識障害,脳幹梗塞の発症を予測する重要な指標である.

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© 2017 日本脳卒中学会
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