脳卒中
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シンポジウム 総説
脳主幹動脈狭窄を有する患者における認知機能の検討
緒方 利安
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2018 年 40 巻 2 号 p. 96-99

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抄録

我々は当院脳神経センターに入院した重度の脳局所症候を欠き,50%以上の内頸動脈または中大脳動脈狭窄病変を有する176 例の認知機能を評価した.対象患者において認知機能評価,およびMRI による大脳白質病変や微小出血の有無,脳血流シンチによる安静時脳血流量も評価した.内頸動脈狭窄症の中で,頸動脈内膜剝離術(CEA)の適応患者は術前,および1 年後の認知機能を評価し,内科的に加療された患者の1 年後のそれと比較した.結果は認知機能低下群が136 例で,全体の77.3%に及んだ.認知機能低下と有意に関連があった因子は高齢,飲酒,患側の脳血流量,傍側脳室白質病変であった.1 年後の認知機能についての検討では,CEA を施行した群で有意に改善した一方,内科治療を行われた群は改善しなかった.脳主幹動脈病変を有する症例の認知機能障害の特徴および影響を与える因子の詳細を明らかにできたと考えている.

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© 2018 日本脳卒中学会
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