脳卒中
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シンポジウム 総説
Embolic stroke of undetermined source の予後と経食道心エコーで検出された塞栓源疾患の関連性
上野 祐司卜部 貴夫田中 亮太服部 信孝
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2018 年 40 巻 2 号 p. 100-104

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抄録

潜因性脳梗塞の頻度は稀ではなく,その病態は多岐にわたる.潜因性脳梗塞はcryptogenic stroke として提言され,心エコー検査を主体とした塞栓源診断で卵円孔開存や弓部大動脈プラークの発症機序への関与が明らかにされてきた.特に,経食道心エコー(transthoracic echocardiography: TEE)は半侵襲的な検査であるが,これらの塞栓源の検出には有用である.近年では,潜因性脳梗塞に対してembolic stroke of undetermined source(ESUS)という新たな概念が提唱された.ESUS は診断の標準化という立場から,半侵襲的な検査であるTEE による塞栓源診断は必須ではない.しかし,逆説的にいえば,ESUS はTEE で診断される種々の塞栓源疾患が含まれる.我々は,ESUS の診断基準を満たしTEE を実施した症例を対象に,脳梗塞再発や心血管イベント発症の有無を後方視的に調査し,塞栓源疾患や臨床的特徴と予後の関連性を検討した.

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© 2018 日本脳卒中学会
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