2018 年 40 巻 2 号 p. 86-90
症例は68 歳の女性.突然の左半身麻痺で発症,当院搬送後に施行した頭部MRI の拡散強調画像で右中大脳動脈領域に急性期脳梗塞所見を認め,頭部MRA では右中大脳動脈水平部近位での閉塞を認めた.既往にFabry 病による心肥大を認めたが,rt-PA 静注療法適正治療指針で定める禁忌に該当する項目はなく,rt-PA 静注療法を施行した.治療後,再開通が得られ症候の改善を認めた.その後,発作性心房細動が検出され,脳梗塞の病型は心原性脳塞栓症と診断した.Fabry 病に合併した心原性脳塞栓症においてrt-PA 静注療法は有効な治療法であると考えられた.