脳卒中
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総説
脳動脈解離による虚血性脳卒中への内科治療
星野 晴彦
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2018 年 40 巻 6 号 p. 451-455

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抄録

動脈解離は我が国の脳卒中の0.7%を占め,その71.9%は虚血性発症であり,特に若年性脳 卒中の原因として重要な疾患である.我が国の動脈解離は後方循環,しかも頭蓋内椎骨動脈が多 く,破裂によるくも膜下出血の危険性を伴うことから,内科的治療選択が難しい問題がある.経静 脈血栓溶解療法については,動脈解離でも問題がなかったという報告が多いが,ほとんどは頭蓋外 動脈解離であり,頭蓋内動脈解離については慎重に症例を選択する必要がある.頭蓋外動脈解離を 対象とした無作為比較試験であるCervical Artery Dissection in Stroke Study(CADISS)では抗血小板療法 と抗凝固療法では転帰に差が認められなかったが,イベント数が少なく,動脈解離における抗血栓 療法についての臨床試験の難しさが明らかとなった.わが国で多い頭蓋内動脈解離については,出 血のリスクを考慮して,繰り返す画像診断で瘤形成がないことを確認しながら抗血栓療法の適応の 有無を慎重に検討する必要がある.

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© 2018 日本脳卒中学会
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