脳卒中
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症例報告
予め血栓の性状を予測し,回収された血栓から感染性心内膜炎による脳塞栓症と診断した1例
林 裕樹鳥飼 武司出村 光一朗梅津 正成市橋 鋭一間瀬 光人
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2021 年 43 巻 1 号 p. 37-41

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抄録

要旨:症例は84歳女性.心房細動と大動脈弁置換術の既往がある.消化管出血を主訴に当院を受診し,腹部CTで大腸癌からの出血が疑われたため入院した.ワルファリンを内服していたが,PT-INRが過剰に延長しており休薬した.第3病日に意識障害と左片麻痺を発症し,緊急でMRI検査を施行した.その結果,DWIで右被殻と放線冠に虚血を認め,MRAで右MCAが閉塞していた.T2*ではsusceptibility vessel sign(SVS)は認めなかった.血栓回収療法を施行し,MCAは完全再開通し,白色血栓が回収された.回収された白色血栓から病理学的に細菌塊が証明され,最終的に感染性心内膜炎による脳塞栓症と診断した.予めSVSの有無により血栓の性状を予測し,回収された血栓が白色であれば病理検査に提出することが重要であると考えられた.

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© 2021 日本脳卒中学会
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