脳卒中
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原著
卵巣明細胞腺癌に合併した脳梗塞(Trousseau症候群)の臨床的特徴
西田 福子岡﨑 知子大岡 洋子田中 なつき江並 朋美杉山 靖子小玉 大地松崎 丞白石 翔一吉田 智子北村 絵未神野 友里西尾 幸浩柳原 武彦
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2021 年 43 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

要旨:【目的】卵巣明細胞腺癌に合併した脳梗塞(Trousseau症候群)の臨床的特徴を検討した.【方法】2012年1月~2017年12月に入院した卵巣明細胞腺癌に合併した脳梗塞について,他の悪性腫瘍に合併した脳梗塞との比較検討を行った.D-dimer値,CA125値,脳梗塞巣の特徴,脳梗塞発症時期,転帰などについて検討した.考察では,文献検索で得られた卵巣明細胞腺癌 21例も検討に加えた.【結果】両群ともそれぞれ4例あった.両群でD-dimer値は高く,多発脳梗塞であった.卵巣明細胞腺癌の全例でCA125は高値で,脳梗塞は癌の診断に先行した.癌治療開始後は脳梗塞の再発はなく,3例が 2019年3月時点で生存している.他癌では,全例が癌治療中の発症で,脳梗塞発症から4カ月以内に死亡した.文献的検討でも同様の結果が得られた.【結論】他癌と異なり,卵巣明細胞腺癌に合併したTrousseau症候群では,脳梗塞は癌の診断に先行しやすく,癌治療開始後の脳梗塞の再発が少なく,生命予後良好な傾向があることが示唆された.

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© 2021 日本脳卒中学会
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