2022 年 44 巻 2 号 p. 181-185
QT延長症候群の既往のある86歳男性,突然倒れこみ救急要請された.橈骨動脈は触知可能であったが,JCS III-200の意識障害と右共同偏視,左上下肢の麻痺を認め,脳卒中疑いで脳神経外科へ搬送.MRI撮影後 JCS II-20,左麻痺も改善.DWIで信号変化はなかったが,右MCA領域にFLAIR vascular hyperintensityを認め,MRAでは右MCAは描出不良であった.脱水があり,当初はこれにより血行力学性に右MCA領域の虚血を来した可能性が考えられた.入院後,心室期外収縮が頻発し,トルサード・ド・ポワント型心室頻拍(VT)が出現した.初回発症時の症状は,VTによる脳虚血症状であったと考えられた.VTによる脳虚血発作は,来院時消失していることがあり,来院時の検査結果で原因が判明しにくい.詳細な病歴聴取が重要であり,特にQT延長症候群の既往がある場合には,VTの可能性を念頭に置く必要がある.