2022 年 44 巻 2 号 p. 205-209
放線冠梗塞に対して,rtPA投与後31時間で椎骨動脈解離によるくも膜下出血(SAH)を発症し,不幸な転帰をたどった症例を経験した.rtPA療法の有害事象としての頭蓋内出血は,脳出血や出血性脳梗塞が知られているが,脳梗塞責任血管ではない動脈の解離によるSAHとして発症した症例は報告されていない.椎骨動脈解離の病態を考察するとともに,rtPA療法に加え,抗血小板薬の併用と未治療高血圧が関与した可能性を考える.当症例の経験から,既往や並行治療によっては,特に慎重な血圧コントロールが必要であると考えられた.