2023 年 45 巻 1 号 p. 44-50
脳動脈瘤の血管内治療後に,遅発性に発生する白質病変についての報告が散見される.本病態は,血管内留置デバイスから溶出するニッケルに対するアレルギー,あるいは治療中にカテーテルなどから剝離する親水コート剤に対する異物反応などが発生機序と推測されている.今回我々は,潰瘍性大腸炎を基礎疾患に有する内頚動脈瘤患者のステント併用コイル塞栓術後,遅発性に大脳白質の浮腫が発生し,病変縮退後に浮腫病変内に微小虚血巣の残存した1例を経験した.血管内治療後の遅発性白質病変とそのリスク要因について,考察を加え本症の啓発を行う.