2025 年 47 巻 2 号 p. 117-124
症例は28歳女性.潰瘍性大腸炎の既往を有するが,治療は9年にわたり自己中断していた.突然の左片麻痺にて救急搬送され,多量血栓による右総頚動脈閉塞に伴う急性期脳梗塞と診断した.緊急で機械的血栓回収療法を施行したが,血栓は多量かつ巨大であったため,ガイディングカテーテルおよび鼠径部シースから体外に回収することはできず,大腿動脈に残存した.対側大腿動脈を穿刺し脳血栓回収療法を完遂した後,大腿動脈に残存した血栓を直達下にFogarty手技で回収し,良好な再開通を得た.本症例では潰瘍性大腸炎による慢性炎症を背景に血小板増多・機能亢進を経て脳梗塞に到ったと考えた.潰瘍性大腸炎に合併する血栓症では,大血管にフィブリンを中心とする白色血栓を形成することが多く,血栓回収は技術的に難しく注意を要する.特に大型の血栓についてはガイディングカテーテルへの回収は困難であり,直達下の血栓回収手技が必要となることがある.