論文ID: 10535
症例は9 歳男児.突然の右不全麻痺,意識障害を呈し当院へ救急搬送され,左被殻出血の診断で入院となった.出血の原因を探るべく造影CT・MRI・脳血管撮影を施行したが,血管異常は指摘できなかった.初診時より異常に血圧が高く,降圧剤持続投与を要し血圧調整に難渋した.2 回目の脳血管造影検査で多発性・微小脳動脈瘤が新たに出現した.二次性高血圧の精査を行うと右腎動脈遠位部の高度狭窄が明らかとなり,腎動脈の経皮的血管形成術を施行.その後血圧は著明に改善し,降圧剤は不要となった.腎動脈狭窄および多発する微小脳動脈瘤の存在から一元的にFibromuscular dysplasia(FMD)を強く疑った.文献的考察を加えFMD が原因と疑われる腎性高血圧症を呈した小児脳出血を報告する.