論文ID: 10664
要旨:【目的】血栓回収術は大腿動脈アプローチが一般的であるが,時間がかかる症例や治療不可能な症例も存在する.術前に上腕アプローチが適していると判断し,迅速に再開通できた症例を経験したため報告する.【症例】90 歳女性.右麻痺,失語,構音障害があり,CT/CTA で左中大脳動脈閉塞による脳梗塞の診断となった.CTA で大動脈解離,Bovine type,type3 の大動脈弓であったため,右上腕動脈アプローチで血栓回収術を施行しTICI2b の再開通を得た.【結論】血栓回収術のアプローチ困難例では上腕動脈アプローチは有効な選択肢といえる.適切なアプローチルートを選択するために大動脈弓部の術前評価が有効である.