論文ID: 10827
要旨:87歳男性.突然の意識障害,左片麻痺を主訴に搬送された.MRIで右視床および右後頭葉に多発する急性期脳梗塞像を認めた.心房細動を認めたが,胸部症状は認めなかった.Tissue plasminogen activator(t-PA)静脈内投与後に,脳血管撮影で右中大脳動脈閉塞の所見を認めた.ガイディングカテーテル誘導中に徐脈およびST上昇を認め,心筋下壁梗塞を疑った.循環器内科医の協力のもとで,右中大脳動脈閉塞に対し血栓回収術施行後に percutaneous coronary intervention(PCI)を施行した.周術期に心不全を合併し,第8病日に死亡退院となった.脳卒中患者の心疾患合併はしばしば認められる病態であり,脳卒中診療において循環器内科医チームとの連携と急性冠動脈閉塞の併発への注意が必要である.