論文ID: 11009
症例は52歳,男性.脳底動脈閉塞を発症し,rt-PA静注療法と機械的血栓回収(mechanical thrombectomy: MT)を施行して再開通を得た.発症時に感染を疑う所見や症状はなかったが.MT術中に悪寒戦慄が出現したため菌血症を疑い,MTで得た栓子と血液を培養するとともに心エコー検査を行ってStreptococcus sanguinis(S. sanguinis)による感染性心内膜炎(Infective endocarditis: IE)が原因の脳主幹動脈閉塞(large vessel occlusion: LVO)と診断した.S. sanguinisは口腔内の健康維持に重要な常在菌で,亜急性IEの原因にもなる.亜急性IEの存在やその症状,亜急性IEによるLVOのリスクについて,認知度が低い可能性があり,急性期脳梗塞治療において注意すべき疾患と考えられる.