論文ID: 11304
症例は83歳男性.入院8カ月前に抜歯処置を受け,入院6カ月前に脳梗塞で神経内科入院歴がある.今回左顎下腺炎で耳鼻咽喉科に入院し,造影CTで左外頚動脈の舌動脈分岐後に7.5 mm大の囊状動脈瘤を認め当科紹介となった.瘤内コイル塞栓術を行い,動脈瘤の消失を認めたが,術後に改めて撮像したMRIで両側大脳半球に多発微小脳塞栓を認め,経胸壁心臓超音波検査で僧帽弁に疣贅の付着を認めた.画像所見と臨床所見から,感染性心内膜炎と診断し抗菌薬加療を開始し,感染性心内膜炎に対する外科的治療のために転院となった.本症例は感染性心内膜炎もしくは顎下腺炎に合併した感染性動脈瘤と考えられた.感染性頚部外頚動脈瘤は極めて稀な病態である.頚部の感染性動脈瘤に対して,血管内治療は有効な治療法の一つである.