脳卒中
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抗リン脂質抗体症候群による心内膜疣贅が低用量エドキサバンとアスピリンの併用により縮小した一例
和田 隆秀 小塩 媛子野瀬 崇博松岡 馨三木 綾子野原 哲人水間 啓太福岡 裕人村上 秀友
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 11320

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抄録

発作性心房細動に対してリバーロキサバンを内服していた69歳男性がめまいを主訴に救急外来を受診した.頭部MRIでは右小脳半球および虫部に梗塞内出血を伴う急性期脳梗塞を認めた.血液検査ではループスアンチコアグラントが陽性,経食道心エコーでは僧帽弁に疣贅を認めたことから,抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome: APS)に伴う非感染性心内膜炎による心内膜疣贅からの脳塞栓症と診断した.APSに対する第一選択薬であるワルファリンの内服拒否があったこととリバーロキサバンの内服下で脳塞栓症を発症していることを考慮し,二次予防薬としてエドキサバンとアスピリンを併用した.その後は脳梗塞の再発はなく経過し,脳梗塞発症の130日後に実施した経食道心エコーでは疣贅の縮小を認めた.APSによる心内膜疣贅に対して,ワルファリンが内服困難な場合にはエドキサバンとアスピリンの併用が有効である場合があり,心内膜疣贅を経食道心エコーで注意深く経過観察する必要がある.

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