1988 年 10 巻 2 号 p. 124-126
40歳未満の脳血管障害患者80例について, 頭蓋内出血と脳梗塞に分けて社会復帰の可否を検討したところ, 前者が有意に不良であったが, 両群の背景に差を認めたことから, 発症年齢, 性別, 麻痺の重症度, 病前の社会的状態等12要因との関連を多変量解析により検討した.その結果, 麻痺側, 上肢麻痺の程度, 下肢麻痺の程度, 病前状態の順に偏相関係数が有意に大であり, 出血・梗塞の別, 発症年齢, 性別, 高次脳機能障害の合併等の関与は小であった.
これらの要因に基づく重相関係数は, 0.669であった.これらの要因のみでは社会復帰の可否を必ずしも十分に説明し得ず, 非医学的因子を含む他の要因の関与についても検討が必要と考えられた.