脳卒中
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実験的クモ膜下出血における体性知覚誘発電位及び局所脳血流量の変化
杉山 尚武
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1988 年 10 巻 3 号 p. 246-252

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抄録

脳動脈瘤の破裂後にしばしばみられる脳血管攣縮は重大な合併症であるが, その病態については未だよくわかっていない.このために多くのクモ膜下出血のモデルが考案されている.その中でも広く用いられている大槽内自家血2回注入法により作成したクモ膜下出血の, 脳に及ぼす影響について局所脳血流量と体性感覚誘発電位を用いて検討した.結果, 大槽内への血液の注入後, 脳血管撮影では著しい脳血管の収縮を認めたものの, 脳血流はコントロール値から20~30%の減少と軽度であった.またクモ膜下出血後の脳虚血の指標として報告されている中枢伝導時間も有意の延長を示さなかった.従って, 大槽内自家血注入によっては, 脳血管の収縮は認められたが局所脳血流量の減少は軽度であり, 体性感覚誘発電位及び中枢伝導時間で示される脳の電気的活動は障害されなかった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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