脳卒中
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被殻出血慢性期例における手術群と非手術群の脳血流量の検討
吉永 真也中富 康夫飯野 耕三福島 武雄朝長 正道
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1988 年 10 巻 4 号 p. 309-312

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抄録
被殻出血30例 (手術群14例, 非手術群16例) について血腫量と慢性期脳血流量との関係を検討した.血腫量は発症時のCTから算出した.脳血流量は発症1~6ヵ月後に133Xe吸入法を用いて測定した.血腫量と患側半球血流量との関係をみると非手術群では負の相関が認められたが手術群では有意の相関関係はなかった.血腫量が15~50mlのものの患側半球血流量は, 手術群11例では36.4ml/100g/min, 非手術群11例では37.8ml/100g/minと両群に差を認めなかった.ADL, 知的機能についても手術群と非手術群に違いはなかった.なお, 手術群の中で血腫量が50ml以上のもの (3例) の患側脳血流量は30.8ml/100g/minであり, 保存的療法における血腫量と脳血流量の負の相関関係から予想される血流量に比べ良好であった.以上より, 血腫量が50ml以下の被殻出血では血腫除去術による慢性期脳血流量に対する改善効果はないと考えられた.しかし血腫が大きなもの (50ml以上) では血腫除去術が慢性期脳血流改善をもたらす可能性は否定できない.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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