脳卒中
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神経疾患の血清・髄液neuron-specific enolase levelの検討
脳血管障害を主体として
川崎 仁志若山 吉弘岡安 裕之高橋 裕秀渋谷 誠二
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1988 年 10 巻 4 号 p. 313-318

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抄録

神経細胞ならびに神経内分泌細胞に存在するneuron-specific enolase (NSE) は解糖系酵素の一員であり, 神経損傷時に血清・髄液へ逸脱してくることが知られている.今回, 脳血管障害を主体とした神経疾患につき, 血清・髄液でのNSE測定を行なった.脳血管障害では, 急性期ほどNSEは高値を示し, 特に髄液ではその上昇度も大きかった.又, CT上異常を認めない超急性期でも髄液では有意な上昇を認めた.特にTIAでも発症早期では上昇する可能性が示唆された.頭部CTで比較した病巣の大きさとNSEはよく相関したが, CT上病巣を認めない小梗塞でも髄液で有意の上昇を認めた.臨床的重症度も同様な傾向を認めた.その他の神経疾患, 例えば髄膜炎, 脳炎, 脳腫瘍, 変性疾患でも有意の上昇を示し, 各疾患とも病期と病巣の大きさに深い関係を示した.特にCreutzfeldt-Jakob diseaseでは発症早期に著明な高値を認めた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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