脳卒中
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延髄外側症候群を呈した解離性椎骨動脈瘤の1例
治療上の問題点について
入倉 克己宮坂 佳男大高 弘稔矢田 賢三広瀬 隆一
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1989 年 11 巻 2 号 p. 133-139

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抄録

延髄外側症候群を呈した解離性椎骨動脈瘤例を報告し, 臨床像, 診断, 治療法について文献的考察を行い, 特に治療法に関する問題点と我々の考えを述べた.症例は48歳, 女性, 後頚部痛で発症.約9日間で完成した臨床像は延髄外側症候群であった.脳血管写にて, 従来指摘されている所見を呈し, 椎骨動脈の解離性動脈瘤と診断した.文献例では本症候群を呈する本疾患は極めて稀である.本疾患の外科的治療は椎骨動脈のproximal ligationが一般的である.しかし本症例ではこの方法により, 逆行性血流が動脈瘤の緊満膨隆をもたらし, 術中破裂の危険性が出現したため, 椎骨動脈のtrappingを施行した.術後症状の改善を見ている.従来のproximal ligationの報告例では血栓化の未確認例が半数以上を占め, 再出血の報告もある.血行動態によっては, trapPingが理想的であり, proximal ligationの症例で成績良好と断定するためには長期間の経過観察を要する.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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