脳卒中
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クモ膜下出血急性期の脳循環障害が症候性血管攣縮発生に及ぼす影響
福田 忠治
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1989 年 11 巻 2 号 p. 140-148

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抄録
破裂脳動脈瘤によるクモ膜下出血 (以下SAH) 63例の発症後72時間以内の急性期脳循環を133Xe bolus injectionにより測定した.半球平均灰白質血流量 (MFG) はSAH急性期に一般に低下した。63例をMFG値により正常・増大群 (A群17例;MFG>70 (ml/100g/min)].軽度低下群[B群30例;70≧MFG>50].高度低下群 [C群16例;50≧MFG] の3群に分類し各群のsymptomaticvasospasm (SVS) の発生頻度及び重症度を比較した.A群では17.7%, B群では66。7%のSVS発生率であったが重篤な神経症状を残すか死亡するsevereSVS例は無かった.一方C群では全例にSVSが発生し, 81.2%がsevereSVSに陥った。入院時のHunt &Kosnik's Grading (H&K-G) やCT上のSAH重症度が同じ症例群においても, 急性期脳循環障害が著しい例では, severeSVSが生じ, 転帰を悪くする傾向が見られた。SAH急性期の脳循環障害はSVSの増悪因子の一つになるものと思われた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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