脳卒中
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脳卒中を合併した家族性高コレステロール血症の5例
村井 淳志宮原 忠夫辰巳 裕之藤本 直規松田 実木村 繁男
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1989 年 11 巻 3 号 p. 230-236

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抄録

家族性高コレステロール血症 (FH) は生下時より血清総コレステロール (TC) 値が異常に高く, 動脈硬化が早期より進展して高率に虚血性心疾患をおこすが, 脳卒中になることは非常に少ない.FHに脳卒中を合併する場合の特徴を明らかにするために, 自験5症例の脳卒中のタイプ, 各種の危険因子を検討した.2例は皮質枝梗塞であり, そのTC値は400mg/dl以上と高く, HDLコレステロール (HDL-C) 値は30mg/dl以下と低く, 動脈硬化指数は高かった。他の2例は穿通枝梗塞で残り1例は脳内出血であった.これら3例ではTC値が300mg/dl以下, HDL-C値は34~42mg/dlで, 動脈硬化指数は軽度上昇にとどまった.しかし5例に共通した危険因子は高血圧で, これが脳卒中をおこす最も重要な要因と考えられた。高血圧があってもTCとHDL-C値によって動脈病変が異なり, 皮質枝梗塞あるいは穿通枝梗塞になるのであろうと考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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