脳卒中
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Sephadex G-75注入による家兎脳梗塞の病態に関する実験的研究 (第1報)
虚血による脳組織の経時的な形態学的検討
金沢 武道崔 得華小松 修小野寺 庚午大池 弥三郎
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1989 年 11 巻 4 号 p. 337-346

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抄録

Sephadex G-75生食水浮遊液 (1 : 1) 0.06~0.15mlを生後2ヵ月の雄家兎54頭の内頚動脈内に注入し, 急性ならびに慢性脳梗塞モデルを作成し, 脳組織変化を経時的に観察した.注入後10分まで明らかな変化はなく, 30分では電顕にて神経細胞内のmitochondriaの増加ならびに粗面小胞体の膨化がみられた.3時間ではastrocyte突起の腫脹, 神経細胞の萎縮ならびに核や細胞体に電子密度が高い物質が認められた.6時間では光顕で神経細胞のニッスル小体の消失, 核の濃縮, 軸索の腫脹, 基質の疎性化ならびに炎症性細胞浸潤等がみられた.24時間では神経細胞は壊死に陥り, 48時間では軸索の崩壊がみられた.3~4日目よりは新生されたと考えられる毛細血管の周囲と病巣にgitter cellsがみられた.1週間ではgitter cellsの増加が一層著明であった.また, 梗塞周辺ではastrosyteの肥大と増生が認められた.5週間では梗塞周辺のグリアの増加と繊維化が見られ, 7週間ではfibrillary gliosisによるglial networkが生じた.12時間~7日の間に出血性梗塞は40%に認められた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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