脳卒中
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外頸動脈経由の血栓で発症したAmaurosis Fugax
寺尾 心一石川作 和夫青木 はつ江武田 明夫
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1989 年 11 巻 5 号 p. 518-522

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抄録
臨床症状としてamaurosis fugaxのみを呈した2症例について, transcranial DoPpler装置を用いて眼動脈の血流方向を分析し, 脳血管撮影所見と対比して検討した.症例は, 77歳女性と51歳男性で, 患側の眼動脈血流は, 2例とも健側と異なり前眼部より脳内に向かう逆流型を呈した.脳血管撮影にて, 後者では患側の内頸動脈完全閉塞がみられ, 前者では内頸動脈起始部のプラークによる高度狭窄がみられ, 両者とも外頸動脈系から眼動脈および一部内頸動脈系への側副血行路の形成が認められた.一般的に, amaurosis fugaxの発現は, 同側内頸動脈系からの微小血栓の眼動脈への流入に起因するといわれているが, この2例では, 閉塞部位からの微小血栓が外頸動脈系に流入し, 症状を発現させる病態が示唆された.
transcranial Doppler法は, 非侵襲的であり容易に反復して検査することが可能で, これらの病態を検討する上で非常に有力な手段と考えられた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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