脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
塞栓によると思われたlocked-in症候群の1例
萩原 章嘉岩本 俊彦勝沼 英宇植野 洋蜂谷 哲也
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 11 巻 5 号 p. 511-517

詳細
抄録

塞栓によると思われるlocked-in症候群の1例を報告する.症例は心房細動を有する62歳男性で, 突然に10cked-in症候群を呈して入院した.入院時のCTおよびMRIにて橋底部, 右小脳半球に梗塞巣を認めたが, 第9病日の脳血管撮影では椎骨脳底動脈の壁不整像を除いて閉塞・狭窄像はみられなかった.肺炎・呼吸不全にて第179病日に死亡, 剖検所見は次の如くであった.すなわち, 1)脳底動脈の中等度のアテローム硬化は右上小脳動脈, 左前下小脳動脈に広がっていた.2) CT, MRI同様, 橋底部, 右被蓋, 右小脳半球に一部出血を伴う軟化巣がみられた.3) 左心耳には血栓を認めなかったが, 脾に小梗塞がみられた.これらの所見は, 脳底動脈吻側部に存在したアテローム硬化性病変に栓子がlodgeし, 再開通にもかかわらず, 脳幹梗塞をきたしたものと考えられた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top