脳卒中
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TIAを頻発した真性赤血球増加症の1例
針谷 康夫東海林 幹夫岡本 幸市平井 俊策高玉 真光
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1990 年 12 巻 1 号 p. 33-39

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抄録
症例は76歳, 女性.繰り返す一過性の右片麻痺・構音障害の発作 (TIA) を主訴に入院.理学的所見では高血圧, 肝脾腫がみられ, 神経学的所見では右側の麻痺徴候・深部反射亢進を認めた.汎血球増加 (赤血球653万, 白血球10,500, 血小板81.3万), 循環赤血球量の増加がみられ真性赤血球増加症と診断した.血液粘度と血小板凝集能は充進していた.X線CTではPVLのみの所見であったが, MRIでは両側基底核・側脳室前角周囲に高信号域がみられた.左内頚動脈撮影ではM1に高度狭窄を認め, PETでは左前頭・側頭葉のCBF, CMRO2の軽度低下がみられた.入院後もTIAが頻発し種々の治療を試みたが, 瀉血・抗凝固療法は無効で, aspirinによる凝集能抑制とbusulfanによる血小板数の是正が有効であった.本例のTIAは血管病変を基に血小板増加と凝集能亢進により出現したものと考えた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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