脳卒中
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脳梗塞患者における血漿ホモシステイン濃度-Case-control study-
荒木 厚福島 豊松本 光弘佐古 伊康北 徹
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1990 年 12 巻 2 号 p. 111-115

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抄録

先天性代謝異常症のホモシスチン尿症では, 若年性に動脈硬化, および脳梗塞をきたしやすい。また, 血中ホモシステインの蓄積は, 動脈硬化を惹起するという仮説が提唱されている.ホモシステインの成人における脳梗塞発症に対する関与の可能性を検討する目的で, 慢性期脳梗塞患者42例の血漿総ホモシステイン濃度を測定し, 年齢, 性, および高血圧をマッチさせた対照84例と比較した.両群間のBody mass index, 空腹時血糖値, 血清コレステロール, 中性脂肪, クレアチニン, 尿酸濃度, および喫煙者の割合には, 有意差がなかった.血漿総ホモシステイン濃度 (nmol/ml) は, 脳梗塞群13.2±5.8, 対照群8.5±3.7であり, 脳梗塞群が対照群に比して有意に高かった (p<0.000001).以上の成績は, ホモシステイン仮説を支持し, 血漿ホモシステインの高値が, 脳梗塞の独立な危険因子の一つとなりうることを示唆する。

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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