脳卒中
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MRI (磁気共鳴画像診断法) により病巣を明らかにしえたDejerine症候群の1例
下村 辰雄鈴木 孝輝高橋 暁
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1990 年 12 巻 2 号 p. 116-122

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抄録

MRIにより延髄内側に限局性病変を同定し得たDejerine症候群の1例を報告した.症例は68歳男性.既往に高血圧症を有する.右手足の脱力にて発症し入院した.神経学的には, 意識は清明, 顔を含まない右弛緩性片麻痺, 右半身の触覚, 深部覚の低下, 左舌下神経麻痺及び軽度の左軟口蓋麻痺を認めた.入院後, 左軟口蓋麻痺は改善し, 以後, 典型的なDejerine症候群を呈した.脳血管撮影ではC1の高さでの左椎骨動脈閉塞を認めた.X線CTではboneartifactの為, 脳幹部に異常を指摘し得なかった.MRIでは左延髄内側即ち錐体より舌下神経核にかけて梗塞巣が明瞭に描出されるとともに, 左椎骨動脈閉塞が示唆された.MRIで描出しえた病巣部位はDejerine症候群の神経学的所見に矛盾せず, 本例の責任病巣と考えられた.Dejerine症候群は極めて稀で, MRIにてその病巣部位が明瞭に描出し得た症例は未だ本邦では報告されておらず, 本例が最初の報告例である.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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