1990 年 12 巻 3 号 p. 214-221
Duplex超音波検査を施行した症例のうち, 血管撮影で椎骨脳底動脈狭窄・閉塞部位の診断できた102例 (正常対照43例を含む) において両検査の結果を比較検討した.椎骨動脈起始部閉塞では全例で収縮期・拡張期ともに血流波形が得られなかった.椎骨動脈逆流は全例で診断可能であった.後下小脳動脈 (PICA) 分岐前閉塞・脳底動脈閉塞では全例が拡張期に血流波形の得られない遠位閉塞パターンを示し, PICA分岐後閉塞では10例中3例で遠位閉塞パターンを, 7例で正常と同じ波形を示した.狭窄例では正常と鑑別困難であった.以上, 遠位閉塞パターンが片側で認められればPICA分岐付近の椎骨動脈閉塞, 両側で認められれば脳底動脈閉塞と診断することが可能であり, 椎骨動脈起始部閉塞・椎骨動脈逆流は確実に診断可能であった.Duplex超音波検査は椎骨脳底動脈閉塞において, 臨床的には無侵襲なscreening検査として極めて有用であると考えられる.