脳卒中
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カルシウム拮抗薬 (NC-1100) の実験的脳虚血・再潅流における脳循環・代謝におよぼす効果
佐渡島 省三井林 雪郎大島 光子森 盛藤島 正敏
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1991 年 13 巻 5 号 p. 346-351

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抄録

高血圧自然発症ラットを用い, 1時間脳虚血 (両側総頚動脈閉塞), 血行再開3時間後の脳循環代謝におよぼすカルシウム拮抗薬NC-1100の効果を検討した.脳虚血作製直後より, NC-1100 0.03, 0.1mg/kg/分あるいは生食水 (対照群) を持続投与した.大脳皮質血流量 (水素電極法) は, 脳虚血中各群とも10%以下に低下した。血行再開後脳血流量はNC-1100群では脳虚血前値の83~90%まで回復したが, 対照群では65%にとどまった.大脳組織の乳酸値は対照群, NC-1100 0.03, 0.1mg/kg/分でそれぞれ2.63±0.22, 2.43±026, 1.97±0.19 (p<0.01vs対照群) mmol/kg, またATPは2.15±0.14, 2.26±0.22, 2.71±0.06 (p<0.01vs対照群) mmol/kgであった.
脳虚血作製後にNC-1100を持続投与することにより, 脳血流の改善が促進され, また脳虚血による代謝障害が軽快される所見が得られた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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