脳卒中
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慢性期脳梗塞患者の赤血球aggregabilityに対するstable prostacyclin analogue (TRK-100) の影響
棚橋 紀夫後藤 文男冨田 稔太田 晃一奈良 昌治
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1991 年 13 巻 5 号 p. 341-345

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抄録

我々の開発した全血赤血球aggregometer (Am J Physiol 1986 : 251 : H1205-H1210) を用いて慢性期脳梗塞患者の赤血球aggregability (RBC-A) に対する Prostacyclin analogue (TRK-100)の影響を検討した.対象は発症後1カ月以上経過した慢性期脳梗塞患者10例 (男性8例, 女性2例, 平均年齢60±6歳 (mean±SD)) である.被検者にTRK-100 20μg/錠を1日3回毎食後 (1日量として60μg) に8週間連続投与した.RBC-AはTRK-100投与前, 投与4週間後, 投与8週間後に測定した.TRK-100投与前, 投与4週間後, 投与8週間後のRBC-Aは, それぞれ0.160±0.017/s, 0.151±0.018/s, 0.147±0.014/sであり健常者群 (38例, 59±9歳) のRBC-A (0.123±0.021/s) に比較するといずれも有意 (p<0.05) に亢進していた.また投与8週後のRBC-Aは投与前のRBC-Aに比較し有意 (p<0.05) に減少していた.上記の結果よりProstacyclin analogue (TRK-100) の慢性期脳梗塞患者に対する赤血球aggregability抑制効果が明らかになった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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