脳卒中
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Wallenberg症候群類似の症状を呈した一過性脳虚血発作の頻発例
川副 信行江藤 胤尚峰松 一夫山口 武典柊山 幸志郎
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1991 年 13 巻 5 号 p. 405-409

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抄録
Wallenberg症候群を主要症状とした, 一過性脳虚血発作の頻発例を経験した.症例は63歳の男性で, 頻発する回転性めまい及び右眼窩部痛を主訴として入院した.非発作時には理学的にも神経学的にも特記すべき異常はなかった.発作時には右Horner症候群, 嗅声, 嚥下障害, 右顔面と左上下肢の温痛覚低下及び右小脳性失調, 即ちWallenberg症候群を呈していた.発作の持続は10分から30分で, 毎日1~3回出現した.発作には特定の誘因となるものはなかった.頭部CT, MRIでは異常なく, 脳血管造影では右椎骨動脈はほぼ完全に閉塞し, 右後下小脳動脈は造影されなかった.短期間で著効を示した薬剤はなかったが, 脳梗塞に進展することなく, 初回発作出現1年後に発作は出現しなくなった.この間の発作回数は合計400回に及んだ.本症例は一過性脳虚血発作の主症状がWallenberg症候群であったという点のみならず, その発作回数の頻度の点においても稀な症例と思われた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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