脳卒中
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脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血急性期に洞不全症候群を呈した1症例
山本 正昭溝口 強美篠原 弘一坂上 明彦朝長 正道
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1991 年 13 巻 5 号 p. 400-404

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抄録
くも膜下出血急性期には高率に心電図異常が出現するといわれている.我々も一過性の洞不全症候群を呈した症例を経験した.症例は63歳女性, 前交通動脈瘤の破裂によるくも膜下出血で, 神経学的には意識混濁の状態であった.入院時の心電図は正常洞調律で, QTU延長がみられる以外には異常はなかったが, 発症40時間頃より心拍数40/min以下の高度の徐脈が出現し, 3秒以上の洞停止と洞不整脈がみられた.Atropineに対して反応しないため, 一時ペーシングを行い, 第3病日に開頭動脈瘤クリッピング術を行った.この症例では, 検査所見より弁膜疾患や心筋自体の器質的障害が否定され, また徐脈は急性期に一過性で消失しており, その後繰り返し行われた24時間ホルター心電図および電気生理学的検査の結果より刺激伝導系の機能に異常はみられず, くも膜下出血にともなった中枢性不整脈と診断した.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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