脳卒中
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脳血栓症, 心筋症を合併した抗リン脂質抗体症候群の1例
川畑 信也杁山 あつ子片山 雄一成田 眞康
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1991 年 13 巻 5 号 p. 417-422

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抄録

脳梗塞と拡張型心筋症, 血小板減少症を示す抗リン脂質抗体症候群の1例を報告した.症例は45歳の男性, 伝導失語で発症.左総頚動脈造影にて中大脳動脈主幹部の狭窄と分枝閉塞を認めた.また右椎骨動脈造影では脳底動脈の先細り状の狭窄および両側後大脳動脈と上小脳動脈の硬化性変化が目立ち, 本症候群に伴う血管病変を示唆するものと考えられた.文献的に抗リン脂質抗体症候群は若年発症の脳梗塞の成因となりやすく, 臨床的には主幹動脈の血栓性閉塞または一過性脳虚血発作を示すことが多い.自験例の脳血管病変も本症候群が示す血管病変に合致するものであった.また自験例では左室腔拡大と左室収縮力の低下がみられ, 拡張型心筋症の合併をみた.抗リン脂質抗体症候群に合併する心疾患としては心筋梗塞や心内膜疾患の報告が多い.本症候群に心筋症を合併したとする報告は過去1例のみにみられ極めて稀な合併疾患と考えられ報告した.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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