脳卒中
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上小脳動脈領域梗塞の臨床的特徴
桑原 聡平山 恵造小島 重幸河村 満
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1992 年 14 巻 2 号 p. 159-165

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抄録
上小脳動脈 (SCA) 領域梗塞8例において, 臨床症状の分析とMRIにより, その臨床的特徴を前下小脳動脈 (AICA) 領域, 後下小脳動脈 (PICA) 領域梗塞と比較検討した.失調性構音障害は6例 (75%) に認められAICA群 (25%), PICA群 (13%) に較べ高頻度であった.四肢の運動失調は3例で下肢優位であった.回転性めまい, 眼振は1例 (13%) のみにみられ, AICA群 (75%), PICA群 (86%) に対し低頻度であった.MRIによる病巣検討ではSCA群の6例 (75%) が皮質枝領域に限局していたが, AICA群, PICA群では皮質枝に限局したものは少なく各小脳動脈本幹, 脳幹回旋枝の閉塞によるものが多かった.SCA群はAICA, PICA群との比較において以下の臨床的特徴を有する. (1) 構音障害と下肢に強い運動失調が比較的高頻度にみられる. (2) 回転性めまい, 眼振などの前庭系症状は少ない, (3) 皮質枝領域の限局性梗塞が多い。
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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