脳卒中
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原因不明のクモ膜下出血
18年間33症例の検討
河野 輝昭平田 勝俊森 和夫
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1992 年 14 巻 5 号 p. 482-486

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抄録
原因不明のクモ膜下出血で入院した33症例の長期追跡調査を行った.脳動脈瘤によるクモ膜下出血に対する比率は4.9%であり, 男18人, 女15人で男性優位であった.平均発症年齢は51.2歳で破裂脳動脈瘤よりも若年傾向を示した.CTで診断された21症例で8例が脳幹周囲に限局する出血 (localtype) を呈し, Sylvius裂に拡がるdiffuse typeは4例と少なかった.出血後に脳室拡大を来したものがlocal typeで1例, diffuse typeで2例あったが, 何れもシャント術など必要としなかった.最長18年間にわたる追跡調査で再出血を来したものはなく, 高血圧性脳内出血で死亡した症例が1例で, 残り4例は脳疾患以外の原因で死亡していた.33例中23人が正常人と変らず生活しており, 予後は極めて良好であった.しかし, diffuse typeの中には依然として脳動脈瘤など出血源が隠されているものがあり注意が必要である.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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