脳卒中
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脳血管障害の治療と予後に関する多施設共同研究
第3報 小脳出血
後藤 文男福内 靖男
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1992 年 14 巻 5 号 p. 487-494

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抄録
昭和59年から昭和63年までの5年間に11施設 (慶應義塾大学神経内科およびその関連病院) に発症24時間以内に入院し, CTスキャンを施行し得た小脳出血118例 (男性77例, 女性41例, 年齢は35~90歳, 平均年齢64±10歳) を対象とした.
これらの患者を内科的治療群87例と外科的治療群31例 (25例は開頭血腫除去術) に分け, 入院時神経学的重症度 (NG), 血腫の最大径, 血腫量, 脳室穿破の有無, 水頭症の有無と退院時予後の関係を検討した.NG分類, 予後は日本脳卒中外科研究会の分類に準じた.その結果は, (1) 意識障害が昏迷またはそれより軽度, 血腫最大径が3cm以下, 血腫量が10ml以下, 脳室穿破のない症例, 水頭症のない症例では内科治療で良好な成績が得られた. (2) 意識障害が半昏睡以上, 血腫最大径が3.1cm以上, 血腫量が11ml以上, 脳室穿破の認められる例, 水頭症が認められる例では内科的治療で死亡率が高率になった.これらの群では外科的治療で死亡率は減少し機能予後の点でも良好な症例が見られた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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