脳卒中
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脳梗塞にて発症した悪性神経膠腫の1例
喜田 智幸本間 温伊藤 輝一長尾 省吾
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1992 年 14 巻 5 号 p. 544-550

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抄録
中大脳動脈穿通枝領域に梗塞を生じ急性発症した悪性神経膠腫の1例を画像診断を中心にして報告する.患者は61歳の男性で, 突然左不全片麻痺, 構音障害をきたし入院した.発症直後のCTで右側頭葉深部に占拠性病変を認め, 造影CTにて同部は不規則に増強され, 悪性神経膠腫が疑われた.翌日症状は増悪し, 発症29時間後のCT再検で, 新たに右レンズ核より放線冠にかけての梗塞巣の出現を認めた.MRIで梗塞巣は, 側頭葉深部からレンズ核前方に位置する腫瘍に接し, その後上方に明瞭に区別して捉えられた.血管写では右レンズ核線条体動脈の伸展, 内方への偏位を認めた.手術にて右中大脳動脈近位部を後方より圧排する悪性神経膠腫を認め, レンズ核線条体動脈起始部も圧迫されていた.本例では腫瘍による機械的圧迫等によりレンズ核線条体動脈に血流障害が生じ, その灌流領域に梗塞を発生し, 急性発症したと推測された.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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