2020 年 6 巻 2 号 p. A_216-A_225
首都圏高速道路ネットワークにおいて交通分散による渋滞緩和を実現するためには,変動する交通状況に対するドライバーの経路選択の実態を把握し,適切な交通需要マネジメントに向けた課題を明らかにすることが重要である.本研究では,そのための基礎分析として,ETCシステムによって記録される料金所等の通行記録を基に,ジャンクション間での時間帯別の平均所要時間差と経路選択割合の関係や,所要時間差に依らず一定の経路を選択する経路固定層について分析を行った.その結果,所要時間や料金が同等にもかかわらず特定の経路に偏った選択が存在すること,多くの時間帯で所要時間差が逆転しにくい場合は経路選択割合が変化しにくい傾向があること,経路固定層は経験上所要時間が短いと期待される方の経路を選択している可能性があることがわかった.