脳卒中
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脳幹梗塞における凝固系 (ATIIIとTAT) の検討
渡辺 正樹新畑 豊茂木 禧昌出口 晃
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1993 年 15 巻 4 号 p. 293-297

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抄録

急性期および慢性期の脳幹部ラクナ梗塞 (LI) 群におけるアンチトロンビンIII (ATIII) 値およびトロンビン-ATIII複合体 (TAT) 値をテント上ラクナ (LS) 群, 皮質枝血栓 (TH) 群, 心原性塞栓 (EM) 群と比較して, その凝固状態を検討した.ATIII値はEM群が急性期, 慢性期ともに最も低く, LI群はLS, TH群と同程度の値を示した.一方, LI群の急性期におけるTAT値はTH, EM群と同程度で, LS群より高値を示した.このことよりLI群はLS群と同規模の梗塞ながら, より凝固亢進状態にあり, 大血管病変も存在する可能性があるといえた.TATはATIIIより鋭敏に過凝固状態を表し, 両者の併用は凝固状態把握のため必要と考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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