脳卒中
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超皮質性感覚失語を呈した左脳梁膨大部梗塞の1例
栗山 長門杉本 英造高梨 芳彰中島 健二岸川 雄介
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1994 年 16 巻 1 号 p. 48-54

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抄録

左脳梁膨大部の脳梗塞後に超皮質性感覚失語を来した症例を報告した.81歳の右利き男性.神経学的には右不全片麻痺, 同側の知覚低下, 右同名半盲を認め, 神経心理学的には語健忘, 保続, 錯語, 失読一失書, 失算, 構成失行, 観念失行をともなう超皮質性感覚失語を認めた.頭部CTでは左脳梁膨大部に梗塞を, 一方MRIでは同部と左橋部および両側放線冠にも小梗塞巣を認めた.SPECT, 1H-MRSなどの脳機能面像では形態学的に同定されたより, もっと広範に左大脳半球の機能低下が示された.脳血管造影では, 左内頸動脈の狭窄はあったが, 両側とも閉塞は認めなかった.以上より左大脳半球への慢性的な血流低下を基礎に, 左脳梁膨大部に梗塞を来したことが左大脳半球の機能障害および超皮質性感覚失語を発症させたものと推察された.神経高次機能障害を形態学的に説明出来ない例では, 機能画像を用いた評価が有用であると考える.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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